とりあえず出来たから出しとく!
シェイプシフター実験の汞目線の話!
初めは勿論“不老不死”についての研究だった
そして勿論“悪魔討伐”は常日頃行っていた
“それ”と出会ったのはそれほど古く無い
初めは透明なゼリー状の物体だった
だが我ら死神にはそれは悪魔の魂として映った
つまり排除対象である
我が一軍がそれを狩ろうと進むと、それはひどく振動した
そして瞬く間に我々と同じ姿をした
勿論我が一軍は攻撃の手を止める
すると彼らも止まる
やつは鏡か?
私の中での実験は始まった。
数名を突っ込ませた
やつが鏡であるなら、その数名が動くはずだ
しかしそうはならなかった
まるで全て同じ意思を持つように動き、敵を排除するように動いた
一時退避させるも、1人だけ破壊され、飲み込まれてしまった
…そこで不思議なことが起きた
明らかに彼は死んだ
結晶化した肉体は砕け散り、彼の魂は悪魔に喰われた
だと言うのに、“それ”の中から彼は生まれた
先程、死ぬ手前までの動きでその場に吐き出された
そして命令通り、我が軍に戻ってきた
しかし“魂”自体は悪魔の色をしている
彼を止める。彼には別行動をするように指示を出し、その場から一時撤退する…
他の団員に触れさせないようにし…質問を投げかける
全ての質問に、想定通りの答えを導き出す
“彼”にしかわからない内容までも…
ではあの悪魔は…所謂“沼男”か…それとも…
沣を呼ぶ、いざという時の為だ
沣に指示を出し、二つ目の実験を行う
彼に私を入れるのだ
無論彼はその怖さを知っているだろうからね…拒絶するだろうから半ば強引だ
後ろを向いて沣と会話してるフリをし、彼の緊迫が解けたタイミングで私の脚で貫く
そうして、私の“核”を流し込む
震える彼に、そっと一押し
「教えてなかったネ、これで君は私になるんだよ…光栄なことだよネ?」
本来であれば、死神の核同士は混ざり合わない
私になるなどあり得ない
その上固形と液体だ、なおさら混ざる訳はない
しかし彼はそう言った情報は得ていない
故に“そういうものだ”と思わせれば…
想定通り私の核は吸収され、私の手から離れた感覚がした
心底気持ち悪かったね
やがて彼は力尽き
“私”が生まれた
それが私であるなら、想定通りなら、
次の言葉はわかるはずさ
「…実験成功だ、私の隣に沣がいない
私が悪魔だネ?」
…大成功だ!
まさか一発で通るとは思わなかった
これは沼男や鏡ではない
“成り変わり”となる存在だと!
「では」
「実験素材を回収してこようかネ」
私が2人いると事が進むのが早くて助かる
恐らくあの悪魔の狙いは、他族に分裂を紛れ込ませ、他族の家で寝静まった所を全員捕食しようとしていたのだろう
しかし恐らくこの存在の意識は低い
己を忘れ去られる程強く「成り変わり」を行えば、本来の悪魔の思考は消え去るだろう
“そう言う設定”ではなく“そうであると”生きるのだから…
思考能力のない屍の記憶や操作方法を手に入れて動く人形と、明確な意思のある生者を取り込み、成り代わった個体では体の操縦権は違うだろう…
「想定通り乗っ取れたけど、質量の圧縮は出来ないネ」
「ワハハ、大きな私がいるヨ!!」
「きめぇ!!!!!!」
『失礼な子だネ!!!!』
「仕方がないから君、液状化しなヨ」
「じゃあ、ラボまで引っ張ってネ」
「きめぇな!!!!」
『うるさい子だネ!!!!』
先程見た透明なジェルと同じ大きさの水銀ジェルを運ぶ様を見る我が一軍は、驚くも納得した素振りを見せる
そしてあの彼はやはり死んでいたのだろうという素振りも見せる
そうそうこういう子達じゃ無いと部下には出来ないからネ
さっさと持ち帰り、実験用の施設に送る
「さて私。大元の悪魔はどうなってル?」
「サァ?今のところ抵抗もないし…意識もない。吸収する際も抵抗は無かった、ただ本能的に生きていた個体だったのかも知れないネ」
精神の伴ってない個体、いわば単細胞生物の様に、ウイルスの様に…繁殖や侵食することだけを目的に動くタイプか
「ならば実験のしがいがあるネ」
「じゃあ、後は君に任せるネ、悪魔の私など気味が悪い」
同個体であれ“私が結果を出す”のならば、それがこの私でなくても構わない
“私”はそういうものだ
だからか、悪魔である私はすぐに“死んだ”
そこにあるのは意識も無い、敵意もない
生き物と呼んでいいものかすらわからない生命体だけ残った
さて、これを使って沢山遊ぼう。
当初は悪魔の有効活用、次に人間に混ぜてどう動くか、そして他族と思い込ませた場合、どう動くかを行なった
悪魔を使った実験は幾度となく行っている、特に今回は何も苦戦する事はない。
人間が脳波やらなんやらを研究し始めているから、コレにも微量の電気を流してみたり
映像を叩き込ませたり…母親なるものを作り、読み聞かせしたりなどを行ってみた
無論母親は我がスタッフ故、あまり非人道的な事はしてくれない
諸々行っていくうちに、培養、電極、そして言葉でどんな存在にもする事が出来た
ただし“彼”が知らない事は適応されない
膨大な知識が必要だ…
リセットは簡単だった
“君は死んで消滅したんだ”と言えばいい
コレらを駆使すれば…魔界にコレを送り込み、内部から魔界を崩壊させる事が出来るかも知れない
さすればその分の悪魔の魂は解放できる
し、ワケマエとして私が幾分か頂いても問題はないだろう!
そんな事をウハウハ考えながら、死界に現界のような学校を作らせ、実験を繰り返した
ある実験…一匹だけ異質にして、バレたらデスゲームな実験をした時、異例なデータが取れた
「現界に三匹逃げてった」
沣からの報告は私の興味を唆った
実験としては失敗だが…あの個体が現界でどう生きるのか…それらのデータも取れる
「放置デいいんじゃナーイ?」
今回の残った子らはリセット、大元のやつに溶かして別の実験を始めよう
後に天界から連絡があった
この異質な生物は君のラボのものだろうと
…哀れなものだ、公式に報告したら処理しなければならないだろう…
せっかく彼らは彼らの家を手に入れて、生活もノリに乗ってたというのに…
「危険性がない悪魔だったが、悪魔を野放しするにはいけないので日本にいる悪魔集団の所に送りました」
「ン?」
「そこで色々やった結果彼らはこっちで監視する感じになりやした〜
ちな悪魔集団のトップの友達がコンラードらしいので特にまぁ気にしなくていいそうっす〜 ネトル」
文面でわかる雑さ、対応した天使君はあの大雑把君だったか…
「孔師匠のとこなら大丈夫っすよね!これ!」
沣も特に問題視はせず、むしろ宜しいと言った顔だ
私としては天界が絡むと彼らの監視がし難くなるのだが…まぁいいだろう…それに…
孔君…コンラード君の配下になるならまた面白いことになるだろう
しばらくしたら挨拶回りに行ってもいいかも知れない
彼らは私を知り得はしないだろうから何一つ問題は無い
ふふ!彼らの人生、悪魔生幸あれ!